育児の参考書は「たまひよ」だけじゃないよって話。
出産後、3時間睡眠(できればいいほう)のなか、手探りでの育児。ネットの情報も参考にしつつもやはり普遍的な情報として書籍も…と思っていくつか手にとってみるものの、情報が昭和で止まっている保健師(本当にいた。居住地の50代ベテラン保健師とか全滅だった)みたいな内容とか、(実際ムリゲーな)解決策は示してくれるものの、どうしてそうなるのか?という根本的なところは教えてくれないっていう。
その場しのぎで解決しても、また同じことが起こるわけだから、せめて事前に回避策がわかれば随分違うのにと思う。3時間寝られないからどうすればいいのかを探しても「あなたも体を休めるとき、赤ちゃんと一緒に寝ましょう!」しか載ってない。
いや、そうじゃなくて。
寝られないという事実に対しての解決(回避)策か、原因がわかればほかの対策も考えられるのにとずっとモヤモヤしていて。最悪の事態しか考えられないままの産後1年をなんとかやりすごして育休明け。 その後、放送大学に編入したタイミングで、どんな科目取ろうかと思ってたときに目に入ったのが「乳幼児心理学」。テキストそのものは大きめの書店やAmazon、放送大学の学習センターで売ってるので、放送大学に入学せずとも購入可能で放送も一部見ることが出来る。テキストは普通に買うと3,000円とちょっと高いのですが。(履修するとテキストはついてくる)
また、数年ごとに科目改訂が入るので、シラバスを見て最新の教科書をご覧になることをお勧め。
余裕があれば、他の科目ものぞいてみるのも楽しい 放送大学 授業科目案内 コース科目 心理と教育コース
結論、1歳過ぎてからでも遅くない。履修して正解。
産まれてから1歳になるまでの間は、まさに「サルから人へ」進化する過程というか、ニューロンが増えてつなぎ合わさっていく過程で。 現在までの研究でどこまで解明できているのか、どれだけのことがまだ判明していないのか、ものごとには理由があることがわかる。
視力
1歳未満の赤ちゃんの縞視力については、3ヶ月で約0.1、6ヶ月で約0.2と言われているが、大人の視力とは感度が異なり実際は100分の1程度の感度。 この感度を理解するには「コントラスト感度」という概念があり、「どれくらい薄いものが見えているか」をはかる指標。赤ちゃんはこのコントラスト感度が低い世界にいて、薄い色使いや淡いパターンは「見えない」から興味がわかない。原色が好きと言われるのは、このコントラストがはっきりして「見える」から興味をもつ、ということ。
赤ちゃん向けの商品はパステルカラーのカラーリングがたくさんあるけど発達を邪魔しないためのカラーリングなのか、大人が持つイメージ具現化なのか。
色
研究で蓄積された4ヶ月前後の乳児の色の好みのデータ、結果は青と赤、そして紫。ピンクは好まれない。好みが生じる理由は、発達途上の目と網膜を刺激する色が好みの色とも言え、男女差はない。
顔も。
顔
生後3ヶ月くらいまでは、顔らしい図形に対する選好がある。これは研究でわかってきたことで、顔らしい図形そのものを人の顔として認識しているわけではないらしく、ここはまだ研究が必要な領域のよう。 5ヶ月になると、目や口の動きが加わる動く顔に反応を示すようになる。 7ヶ月以降になると、顔を見てそれが誰かを同定して、親と他者を区別できるようになる。人見知りはここから。
このほかに、以下のような項目がある。
音声知覚の発達(母語の音を聞き取る力の発達とか) 音から言葉へ 動きがわかること 空間認知の発達 知識の獲得 音楽知覚、食、障害の発達
初めての食べ物はやっぱり食べない傾向なんだってさ。
人によって違いがあるのはあたり前で、自分も今となっては産後数か月のお母さん達に対しても「そんなに気にしなくても大丈夫」と言いたくなるけど、大丈夫と言ってもらって安心する人もいれば、結局それしか言わないし、今の状況は何も変わらないと絶望する人もいる(私は後者だった)。
息子が卵アレルギーを発症してその治療過程でも、周りの理解の低さや無知さ(今までの自分含む)を痛感。また知恵を知識と勘違いする人達が結構いて、大丈夫だったから大丈夫みたいなことが結構まかり通っている現実もなかなかに怖い。
そういった意味でも知識として必要なもの、知恵として必要なもの、それぞれあるし、どちらかに偏るものいけないと思うけれど、学問的な知識が案外役立つことがあると勉強が役立ってる実感があってちょっと嬉しい。体系的に学ぶことで、点で散らばっていたものが線になっていく過程も楽しい。
少しでもお母さん達の選択肢が増えて楽になってくれたらうれしい。
*過去noteに書いたものを移設しました。